ぶっちゃけ946

スポーツマンの思考。


あの、僕はスポーツが嫌いです。や、別に運動音痴なわけじゃないです、学生時代の体育の成績は比較的良かったです。不器用なので球技は下手ですが、身体能力は猿みたいなので陸上とか体操とかはかなり得意でした。特にマット運動や鉄棒、跳び箱なんかは練習ゼロの初見でも大技を平気で繰り出すくらいの猿っぷりでしたが。足も速かったのでリレーの選手にはいつも選ばれてたし、スキーも、小学生の時はシーズン券を買って週に3回くらいは行ってたので、まあまあ得意。球技は苦手だけど。でも、そうじゃないんですよ。上手いとか下手じゃなくて、スポーツって人に迷惑をかけるじゃないですか。それが申し訳なくて。


例えばバレーとか、自分と隣の人の中間あたりに相手のサーブが飛んでくるじゃん。出しゃばってレシーブに行くと、正面で受ける基本ではないのでミスる。取らないでいると、お見合い→サービスエースみたいになる。どんな競技でも一緒、チームプレイじゃなくても、卓球とかあさっての方向に飛ばしてしまったら、相手は取りに行く、ゴメンナサイって感じ。すると、仲間や相手に申し訳なくならないように気を使いつつ、目立たないように、かつヘマをしないように無難プレイをしなきゃ、って考えると微塵も楽しくない。マジで、スポーツを楽しむ心が僕には存在しない。ただただ、ストレス。リレーですら後ろの人の走路妨害したり、抜くときに邪魔になったら悪いなぁ、とか思っちゃう。や、だから、完全に一人ぼっちでできる運動は好きですよ。釣りや登山は好きだし、スキーとかも比較的好きですが。相手が必要ないスポーツは好き。勝ち負けが付かなければもっといい、負けたら嫌なのはもちろんですが、勝っても喜べないという損な性格。


ところが、スポーツマンは違うんですよ。まず、僕がミスしても「ドンマイ!」とか「気にしない!次!」って言う。それが、別に気を使ってるんじゃなくて、普通に。そういう人はスポーツはミスするのが当たり前で、それをどう減らすかみたいなのが練習だったり楽しかったりするもんだから、本当に気にしてない。そういう人の「気にすんな!」は、マジで、心底、「気にすんな!」って思ってる。別にミスった僕に対して、怒りとか不満とかは、ない。


あと、僕は気を使うので試合に出たくないからね。どの会社にもあると思うんですが、親睦会みたいなので運動部がある。うちの会社はバレーと野球がありますが、まあ、一応は全員が入っています。まあ50代とかの管理職の人や、小さい子どもがいる女性とかは最初の歓迎会とかくらいしか来ないですけれども、僕も半ば強制的に入部してます。で、試合とかあるじゃないですか、練習試合でも大会でも。僕は普通に嫌なので応援とか、用具運びとか、ジュースの買い出しとか試合後のバーベキューのために木炭に火をつけたりとかを率先してやることにして、遠巻きに眺めてるんですが、監督とかキャプテンとかが交替で全員を出場させようとしてくる。マジで困る。普通に、出たくないんだけど…。でもスポーツマンの人はそう思わない。せっかく練習したんだから出た方が楽しいだろう、と。ガチでやってるプロスポーツとかじゃないんだから、下手糞だから控えとか、そういうの無しで、みんなやろうぜ!っていう爽やかスタンス。うわぁ…迷惑。


そして、この思考回路ですが、スポーツマンの方が明らかに正しい。僕の方は、なんか、後ろ向きっていうか、クズみたいな考え。そもそも好意でやってくれてることに対して迷惑とか思ってる時点でクズだし。有難迷惑とかじゃなくて、僕の方が間違ってるっぽいし。まあ、一昨年は新入社員でしたし、とりあえず練習にもたまに参加してましたけど。去年度は結婚やら妻の妊娠やらを言い訳に2回くらいしか行ってません。今年度に入ってからは完全にゼロです、新人歓迎会すら行かなかったわ。釣りだったら6時に仕事が終わった時とかですら、30分だけでも!って川に行くくせに。最近は練習試合も、出場させられるのが嫌で、Tシャツとサンダルですからね。バレーシューズとか野球のグローブとか家に置いてきたし、そもそも用具も持って行かないし。手ぶら。応援と買い出し専門で!と元気に宣言。


でも、そうすると今度は練習に全然参加しないことに申し訳なくなってくる。マジで何とかしたい、この性格。しかもスポーツマンたち、毎週熱心に練習してる人たちは、別に来ない人がいても気にしない。当たり前だけどさ、別に仕事ではないし、来たい人は来ればいいし、来れない人は来なくたっていい、こんなものは趣味の範疇なんだから楽しめる人は楽しんだらいいんじゃない?っていうスタンスだから。中学校の部活じゃないんだから「何でサボるんだよ!」と問い詰める先輩も存在しない。まあ、スポ根タイプの部活はそれはそれで異常だと思いますけれども。僕には生まれ変わっても理解できないだろう。いずれにせよ別に練習は強制じゃないし、同調圧力も完全にゼロなんですけれども、僕が一人で勝手に申し訳なく思ってるんです。


とにかく、何もかもが僕の理解の範囲になくて、スポーツマンとかいう人種?あいつらマジで意味不明。謎すぎる。摩訶不思議。モンゴリアンデスワームより謎だわ。フラットウッズモンスターかよ。あるいはドーバーデーモン?ツチノコ?モケーレ・ムベンベ?まあ、そういったUMAの類だと思うんですけれども、マジで理解できない。特殊相対性理論より難しいわ。一般相対性理論よりは簡単でしょうけど。


理解できないものを理解しようとすると、頭がおかしくなります。その、勉強とか、そういう理屈とか理論の話じゃなくて、感覚的なものですよ。例えば数列がわかなくても、一生懸命勉強すれば理解できる日が来ます。でも、サイコパスだとかゲテモノ食だとか新興宗教だとか、そういったものは共感することは絶対にないですよね?それと同じです、スポーツマン的思考。マジで。意味不明の極致にして局地だわ、しかも極値。それでは聴いてください、新曲「KYO-KU-CHI」です。


などと、既に少し崩壊気味の精神を引きずりつつ帰宅すると、妻が言うわけです。妻は今でこそぽっちゃりしていますが、学生時代は僕の理解の範疇にない、バ……バスなんとか…バスケ部?とかいうやつだったらしいんですが。なんかおもむろに喋り始めます。


「REDー、産後の体調も良くなったし、今度ラウンドワンに行ってバスケしよーね」


未知との遭遇