ぶっちゃけ204

と、いうわけで、学会に行ってきました。念のため言うと、『女児向けアニメ学会』ではありません。


まあ僕がプリキュアを始めとして、ナージャ、どれみ、果てはコメットさんも好きだという事実はどうでもいいです。特にコメットさんの話をすると悲しくなるのでやめておきます(ヒント:打ち切り)。そうじゃなくてさ、何となく今やっている研究を発表してきたわけですよ。


僕といえば心が弱い人、特に人と話すのが苦手という悲しき特性の持ち主。ああ、げんしけん久我山みたいな感じを思い描いてくれると遠くないです。でも逆にスピーチとかは無心で話せるから、むしろ得意なんですよね。学芸会で主役をやった事もありますし、意見発表大会にも出た事があります。演説みたいなのも大丈夫。何だろう、緊張する時には聴衆をカボチャだと思え、とかよく言われますけれども、実際そんなもので、不特定多数に向けて喋る、具体的な相手のいない状態で喋るのは得意です。でも、逆に日常会話とか、眼前の相手が存在する状態で喋るのは超ニガテ(E)。


なので、教官にも、まあ発表は良かったけれども、質疑応答がダメだったわ、と言われてしまいました。なんか、しどろもどろマンになってしまうんですよね。あー、調査地域を出したんですよ、地図ね。そこには磁北(方位磁針が指す北)と真北(地球の本当の北)が書き込んであるんですわ。どうして?って訊かれて、狂った。「あー……その、地磁気のN極と、地球の真北はちょっとズレているから……」とか、うろたえて言ってました。


そうじゃないんです、や、そうなんですけれども、そんな事はみんな知ってるよ。どうしてそれを書いたのかな?って事だろう。えっと、地層がどっちの方向に広がっているかとか、どういう方向にどれくらい傾いているかといった事を測る機械があるんですよ、クリノメーターっていう。地質学の中でも僕みたいに地質の調査をやっている人にとっては商売道具です。漫画家にとってのペン以上、バイク便業者にとってのバイクくらい必要なものです。んで、その機械って方位磁針が内蔵されていて、北を基準に何度ズレているか、みたいな記載をするんです。つまり、それで測ったデータは磁北を基準にしています。でも地質構造とかを図に記載する時は当然真北を基準にします。で、磁北と真北のズレは緯度によって違いますので、いちいち記載する必要があるんですね。何の事はない、単純な話です。


でも、人前でだと頭がパーになっちゃうんですよね。あれほど脳内で予行演習したというのに。イメージトレーニングってやつですよ。


「RED、この化石はなんていうんだにょ?」
「それはSpisula grayanaっていう貝で、ナガウバガイっていうんだ。北海道名物ホッキガイの仲間だにょ」
「が、がお、潮間帯って、わからないよ……」
「ああ、満潮の時は海面下で、干潮の時は海面上に出る範囲の海辺の事だよ、にはは」
「11Maってどういう意味?どういう意味?どういう意味?」
「MaっていうのはMega d'annee´´esの略で、英語だとMillion yearsだから100万年前の事。だから11Maは、ぶっちゃけ1100万年前だね」


敗因はこれか……そういえば脳内には萌えキャラしかいないんだった。