ぶっちゃけ114

ぽろりと、涙がこぼれた。


それは堰を切ったように溢れ続け、眼前がぼやけ、ひとつ、またひとつと、心にも紙魚を作っていくかのようだった。


決して離すまいと誓い、その手を掴もうとしたが、僕の震える手は虚空を掴んだに過ぎなかった。流れ落ちる水を誰が止める事が出来ようか。掌に受けた水はするすると指の間から落ちていく。同じだ。これは、僕の想いが生んだ、掴む事の出来ない水だ。透き通った、清らかな水。



彼女は死んだ。たった一度も笑う事なく。



その白い肌を冷たくし、消えていく彼女。僕は叫んだ、お願いだ、誰でもいい、彼女を助けてやってくれ!届かない。実際にはただの嗚咽だったのかもしれないが、僕は必死で叫んでいた。それなのに、どうして届かないのだろう。


彼女は無垢で、純粋で、それ故に自分が何を為そうとしているのかさえ解らずに生きていたのだ。僕はそんな姿に同調し、いつしか恋にも似た感情を募らせていったのだった。彼女の悲しそうな顔を見るのは、この身を引き裂かれるよりも苦痛を伴った。彼女の困惑している様子は、人生そのものの苦悩とさえ感じた。


彼女の死は予定されていたのだ。こんな、残酷な話があってたまるものか!現実という無慈悲なるものは、どれだけ苦しめば許してくれるのだろうか。彼女だって、歯を食いしばり、精一杯運命に抗おうとしていたのに!



深い悲しみはやがて憤りに変わり、僕自身へと向けられる。そう、ほんの一瞬でも笑顔を見せて欲しい、そんなささやかな想いさえ伝えられなかった無力な僕に。だが現実は残酷だ、それでも僕に生きていろと言うらしい。


『運命でさえ、人の勇気を奪う事は出来ない』、誰かが言った言葉が思い出された。では僕の生きていく為のわずかな勇気を残らず消し去ったものの正体は何だ!?そんな言葉、所詮は言葉でしかないのだろう。使い古された慰めの言葉なんかじゃ、僕の絶望よりも暗く深い悲しみは、ただの一滴も薄まりはしない。




……ああそうか、絶望しているのは、他でもない僕だった。


気付いてしまった。仕方がない、来週からも見ていこう、きっと、立ち上がれるさ……。そう言い聞かせて、ビデオを停止し、巻戻しを始めたのであった。


えっと、この糞日記に何が起こったのかと思った人もいるでしょうが、まあ、つまり、あれですよ、今日のプリキュアの感想です。