ぶっちゃけ41

最近、大学の改修とか、あと若干学部が変更になったりして既存の研究室が移動しているんですよ。んで、住処を追われた人達が研究室ごと我々の研究棟に避難してきたんですよ。まあ困った時はお互い様、みたいな感じで僕らもさほど気にしてはいなかったんですけれども。


そうしたら、いきなり苦情がきました。ハンマーをガンガン叩く音がうるさくて困る、と。


や、ちょっと待ってくださいよ。あの、ここ、地質学研究室なんで、岩石を叩き割ったり、中から化石を出したりするのは当然の作業だし、ね?頼みますよ?運動系の連中がロビーで筋トレとかやっても「邪魔だなぁ……」とは心で思っても口にはしません。音楽系の連中がパーとかプーとかドンドコドンとかやかましくても、それは練習とか課題とかなんで仕方がないわけですよ。うるさいとは思いますけれども、まあ、我慢するしかないわけです。生物研究室の連中だって実験用に育てているハエの餌とか作ってます、めっちゃ臭いです。美術系の連中の所はシンナー臭かったりします。


でも、そんな事は、それこそお互い様の精神ですよ。大体にして研究なんだから仕方がない。僕らはハンマーでガンガンやるのが仕事だし、そもそも元来ここは僕らの研究棟だし。勝手に引っ越してきて文句まで言われたら不愉快です。なのに解決策としては、うるさいと言ってきた連中が帰った後の夜とかに作業する。もしくは土曜とか日曜に作業する、だってさ。うえぇ!?そんなのありかよ!?わあ、なんだかアメリカ軍みたいだなぁ。


きっと引っ越してきた連中、教育学か何だか知りませんけれども、自分達が騒音とか異臭を出す研究をしてないから、お互い様の精神を持ってないのです。譲り合う心がない。音楽の連中がうるさくても僕は我慢しますし、僕のハンマーガンガンの音も音楽の連中は我慢してくれてる。それはお互い様、だから。つまりこの弊害を克服するには僕らが消音するわけにはいかないので、向こうにも騒音を出してもらえばいいのです。やっべー、あいつらうるせー!じゃあ俺達も騒いじゃえ!みたいな。


こいうの、なんて言うんでしたっけ?目には目を、歯には歯を、だっけ?復讐法だったかしら?


お互い、悲しみしか生まない。